2022.7.25
開発物語vol.15「カット済み たらこ・カット済み 辛子明太子~前編~」
カット済み たらこ・カット済み 辛子明太子の開発物語「前編」
開発物語vol.15は、“白いご飯のおとも”の定番であり、お茶漬けやパスタとしても食されているたらこと辛子明太子をご紹介します。コンビニエンスストアのおにぎりの人気具材でも常に上位に挙がるほど、たらこと辛子明太子は幅広い年代層に好まれています。
目次
- 社会情勢が関わった原料確保
- 原料確保の次は…
- すけそうだらの卵の熟成度
「カット済み たらこ・カット済み 辛子明太子」の開発担当者はこの方!
生鮮食品部/笹屋 健治(ささや けんじ)
水産品の担当をしています。その前は、揚げ物、米飯、めん類、お弁当などを担当していました。分かりやすくいうと、スーパーの『おそうざい売場』に並んでいる商品全般ですね。新卒で入社した前職は、米飯加工食品・調理パン・そうざいを製造・販売している会社でしたので、大学卒業してから現在に至るまで、おそうざい商品の開発一筋です!経歴をお話すると、「調理関連の学校出身ですか?」と聞かれるのですが、大学では経済学を専攻していたんですよ。学んだことを活かしたくて、希望職種は「企画」と決めて就職活動していたんです。それが採用された前職の面接で「おにぎりが好きです!」と言ったところ、入社後に配属先が「開発」となりまして…(笑)。きっかけというのは何が転じるか分かりませんね。
社会情勢が関わった原料確保
<聞き手>
まずは、たらこと辛子明太子の近年の市場規模や動向からお聞かせください。
<笹屋バイヤー>
はい。たらこも辛子明太子も原料は、すけそうだらの卵で主な輸入国はアメリカとロシアなんです。
ロシア産の方が安価なんですが、現在、ロシアの社会情勢からかに・鮭・魚卵の輸入は不安定、そして円安で状況が良くないんです。開発中も買い付けができるか?お金を払っても原料はきちんと届くか?どうなるのか分からない状況が続いていました。
<聞き手>
これまでの開発物語では、出てこなかったお話ですね…。ロシアの動向が商品の安定供給の肝というわけですね。
<笹屋バイヤー>
そうですね。本当に商品化できるのか?という心配は常にあり、本当にヒヤヒヤしましたよ。
とはいえ、お客さまに「たらこ」と「辛子明太子」をお届けするために開発を進めました。
生鮮食品は後から「追加で増産する」、というわけにはいかないんで、安定供給できるだけの原料を確保することが重要なんです。
ロシア産の魚卵は、韓国の釜山で入札して価格が決まります。
その入札価格で買い付けをして仕入れるわけですが、入札するためには“取り組み数量”、つまり販売計画が必要なんです。今回、加盟社が販売計画を増やして協力してくださったおかげで、販売量の目途が立ち、仕入れ交渉することができました。
※加盟社…ニチリウグループの全国各地の有力チェーンストア15社と、生活協同組合3協。
原料確保の次は…
<笹屋バイヤー>
こうして安定供給のために必要な原料確保の目途は何とかついたんですが、輸入品なので相場と為替の問題、また輸送費アップなどの要因もあり、例年よりも高値に着地したんです。
<聞き手>
値上げは食品に限らず、私たちの生活全般で起きていますからね。こればかりは仕方のないことです。
<笹屋バイヤー>
これまで通りの価格でお客さまに召し上がっていただくためには?と考えて、2つ変更したんです。
1つ目は容量を従来120gだったものを100gにしました。
<聞き手>
100gに何か意味はあるのでしょうか?
<笹屋バイヤー>
カットする前のたらこ約2本分で、カットしたものだと6~8切れなんです。この量は、4人家族だと食べきれる量で、1人暮らしでも数回に分けると食べやすい量として考えました。
2つ目は商品を集約したことですね。生産効率を改善してコストを抑えるためなんです。
以前までは、カットしていないもの(丸のまま)とカットしたもの2品ありましたが、カットしたものだけにしました。
やはり、すぐに食べられて便利ということもあり、売上は伸びているんですよね。それと、新型コロナウイルスの影響で1本のたらこを他の人とつついて食べることに抵抗がある方もいるので、カットしたものは今のニーズに合っていると考えたんです。
<聞き手>
チーズやバター、おそうざいなど他の食品でも「切れてる○○」というのを見かけますし、すぐに食べられるので本当に便利なんですよね。
<笹屋バイヤー>
生ものを切るのは手間がかかりますし、衛生面でも気になりますよね。商品のラベルに「食べやすいサイズに切りました」という文言を入れましたよ。
すけそうだらの卵の熟成度
<聞き手>
「たらこ」と「辛子明太子」は、生ものなので原料の質が味に大きく関わりますよね?
<笹屋バイヤー>
原料がすけそうだらの卵であることは先ほどお話した通りです。
食感や風味の決め手になる卵の成熟度によって、一般的に3段階で区別します。一番良いのは「真子(まこ)」といって、適度なかたさとやわらかさがあり、噛むと旨味が出てくるんです。卵が一粒一粒しっかりと立っているツブツブ感、つまり「粒立ち」も良いんですよ。
<聞き手>
噛むとプチプチする食感のことですね。
<笹屋バイヤー>
はい、そうです。
未成熟な卵は「ガム子」といって、皮が固く噛んでもツブツブ感がないんです。ただ、カット前の切り込み(丸のまま)で焼くと見栄えは良いので、焼たらこなど加工品に使われます。
育ち過ぎの卵は「水子(みずこ)」といって、放卵前で適度な弾力もなく水っぽいんです。水分が多く旨味もなくなっていますね。 くらしモアの「カット済み たらこ」と「カット済み 辛子明太子」は、吟味した真子だけを使用していますよ。
<聞き手>
「たらこ」と「辛子明太子」は、どちらも原料はすけそうだらの卵ですが、作る工程が少し異なることをご存知でしたでしょうか?
たらこ…下味をつける調味液に24時間浸ける
辛子明太子…たらこの工程+唐辛子入りの調味液に48時間浸ける
後編はメーカーさんのご協力をいただき、くらしモアの「カット済み たらこ」と「カット済み めんたいこ」ができるまでの工程をご紹介します。